すべての行為が自然とともに進んでいく。そこに迷いやためらいはない。
「自分のすることを気にしているとき、二元的になっている」これは、禅マインドビギナーズマインドという本に書かれていたものだ。この本は、アップルの創業者スティーブ・ジョブズの愛読書としても知られている。
自分自身も禅に関する本や考え方に興味があり、かれこれ10年近く追い求めてきた。今後も一生、禅には関わり続けるであろう。
日頃、なにをしようか、どうしたらよいか、などと意識することが多い。それで始めた行為というのはたいてい中途半端な結果に陥ってしまう。しかし、そんなことも意識せず自然と行う行動は不思議と長続きする。これはまさに禅の真髄を表してる。人というのはとことん自然に従わなければならないのだ。従うと聞くと何かに服従させられている、上の立場と下の立場を分ける言葉に聞こえてしまうから、あえて言い直すならば、"調和"である。自然と溶け合う。その瞬間、人は人でなくなると同時に、たしかに人であるのだ。すべての行為が自然とともに進んでいく。そこに迷いやためらいはない。
有名な話でジョブズはいつも鏡の前に立って、「今日が人生最後の日ならば今からやろうとしていることは本当にやりたことだろうか?」と問いかけていたらしい。これも禅の考え方からきている。禅とは今ここにあるのである。過去や未来の中にはない。一瞬一瞬の中に永遠を見出すことである。
この記事を書くのにも禅が行き渡っていなかればならない。意識せずとも自然とキーが叩かれる。あとで読み返したとき、たしかにそこには自然の言語が反映されていることがわかる。