shonblog’s diary

日々感じたこと。日記。思想。精神。宗教。自然と人。人間の構造をわかりにくい文章で探求していきます。

「初心者の心には多くの可能性があります。しかし専門家といわれる人の心には、それはほとんどありません。」

 「初心」という言葉が好きだ。人は、年を取っていくにつれて、色んな仕事をしたり色んな人に出会ったり、色んな場所へ行ったりしているうちに経験値や知識量が増えていく。知識が増えれば、世界が広がりまた、失敗をする確率も減るだろう。

 しかし、欠点もある。予め「これはこうなるだろう」という先入観が湧いてくる。これは前にも経験したからこうなるに違いない、とか。これが進歩に歯止めをかける。というのも人生においてあらゆる瞬間に同じものはないからだ。何ごともやってみるまではわからないのだ。

 だから常に初心を忘れてはいけない。一度学んだ知識も一旦は水に流して、次の日を迎えなければならない。禅の僧侶の言葉で、「コップ一杯に水を入れていては、新しい水は入らない」というものがあるが、正にこの気概である。常に我々は、白紙に向かって新しい絵を書く画家のようでなければならない。

 ただ誤解してほしくないことは、学んだことはすべて無駄である、ということではないということだ。もちろん学んだ知識は次に活かすためのものであるからわざわざ捨て去る必要はない。大事なのはその瞬間を新たな気持で曇りなく澄んだ目で過ごすことである。そういう心持ちで過ごせた時、新に価値のあった学びというのは、必要な瞬間に我々の意識の上に登ってくるものなのだ。始めからこれはこうだからという前提に物事を考えると、価値ある学びは奥深くに沈んだままである。

 「初心者の心には多くの可能性があります。しかし専門家といわれる人の心には、それはほとんどありません。」

 これは禅の僧侶で鈴木俊隆という方の言葉です。